長島法律学の由来と展望

長島法律学の由来

SFCの「法律学」の講義は、2018年から開講しています。長島とSFCとの接点は、2016年度から担当した「リーガルマインド1リーガルマインドは、2015年度まで国際法・宇宙法の青木節子教授が担当されていました。法律学は、2017年度まで新保史生教授が担当されていました。なお2018年以降、リーガルマインドは開講されていませんでしたが、2021年度から長谷川先生が担当されるようです。」という講義でした。2年ほど担当したのち、「法律学」という科目にスライドする形で、今に至っています。

SFCのことをよく知らない長島を導いてくれたのは学生たちでした。
初回の授業で驚いたことは、半分以上の学生がPCやタブレットを机の上に出していたことです。そして、授業のコメントや質問が毎回山ほどあり、建設的な意見をくれました。授業でのTwitterの利用やハッシュタグの共有もそうした学生の中から出てきたものです。また、初年度300人ほどの学生のリアクションペーパーを毎回あたふたしながら回収する長島の姿を見るに見かねて、ボランタリーに手伝いをしてくれる学生も出てきました。ありがたいものです。そこで、オフ会と称して、学期末後にそうした学生と食事をする機会も持つようになりました。SFCには、TA/SAの制度があり、そうしたボランタリーに協力をしてくれた学生にSAをお願いして、アシスタントも含めて一緒に授業を作っていきました。

2017年度のリーガルマインドオフ会では、リーガルマインドから法律学になるにあたっての話し合いが行われました。たくさん意見交換を行った中で、授業ハッシュタグをどうするかを検討しました。2017年度では #sfclm17 だったのに対して、リーガルマインドの略である「lm」はもう使えません。
様々な案が出ましたが、多くの学生に沢山の反応や感想を書いて欲しいという想いからハッシュタグはできる限り短いものにしようと提案したところ、アシスタントの多数決でシンプルな(?) #長島法律学 が採用されました。

(ちなみに、長島以外全員賛成でした。自分の名前が入るのは恥ずかしいのに!!!)

今では、「長島法律学の先生ですよね?」「Twitter見てますよ!」と声をかけていただくこともあるくらいです。

授業に対しての思い―法律の敷居を下げよう

法律学は、難解な学問だといわれています。しかし、社会は、法に基づいて動いています。一般に「法は守らなくてはいけない」と考える方が多いと思いますが、その考えは必ずしも正しいわけではありません。「何が良いか悪いのか」は、人それぞれで、時に、ある人は良いと思われたルールが別の人にとって悪いルールと思うこともあります。その場合、議論をしてどちらが良いのか決める必要がありますし、一度決まったルールも、見直した結果、変更する必要があることもあり得ます。

例えば、「人を殺してはいけない」という、ごく当たり前のルールであっても、「人を殺した」ということだけに着目をすると「悪人」なのでしょうが、「どうして殺したのか」「誰を殺したのか」などの事情を踏まえると、その人をどう処遇するのかの結論は変わっています(正当防衛だった場合が典型です)。

こうした視点を持つことが大事であり、「どのような法律があるのか」ということはもちろん、法とはどのようなものなのか、事件をどのように処理するのかなど、法律学を学ぶことは、社会を見る目を養うことになります。

SFCでは先端分野の技術を扱います。しかし、それはルールがまだない「未開の地」でもあるわけです。その場合、法律は「」にも「味方」にもなります。何も知らないと「敵」ですが、その扱い方を知ることで「味方」になり、その技術を社会に大いに展開できることにもなるでしょう(いくらその技術が素晴らしくても、人はまだ見ぬものに対して不安を抱くもので、敵認定をしがちなのです)。

そのような意味で、SFCの学生だからこそ法律学を学んでほしいと思い、この授業に臨んでいます。

(なお、その発展として立法技術論という科目があり、2019年度より長島が担当しています。)

アニメを使っている理由―わかりやすさ・おもしろさ

法律の敷居を下げるためには何が必要か―それは「わかりやすさ」と「おもしろさ」でしょう。法律学は、言葉の学問です。それゆえ、その言葉を支える社会の出来事のイメージが必要となります。しかし、18歳で不動産取引をする経験は稀ですし、事件において「こんなことは起こりえない」「この人の考え方や行動は理解できない」といったこともあるでしょう。そうした状態で判断を下すことは困難ですし、危険でもあります。

そこで「わかりやすさ」です。
アニメは奇想天外なストーリーとバラエティ豊かなキャラクターが登場します。身近な行動、破天荒な行動、将来の社会の出来事など、その一部を切り取ってみると、色んな分析ができるもので、しかもわかりやすい描写になっているわけです。これはアニメというディフォルメされた作品の中での、いってみれば「極端」な行動があるからこそだと思います。

また「おもしろさ」です。
ストーリーや登場人物を知っていると猶更ですが、「あの行動の裏にはこんな問題があったのか」という新たな発見があるかもしれません。作品は何度も見ることで、これまで気がつかなかったことを発見するのはざらです。法律学の観点から改めてみることで、作品のこれまでと違った魅力が出てくることに期待して選択をしたりもしています(「法と文学(Law & Literature)」という分野もありますし、法律にまつわる映画をまとめた書籍あるくらいですから、当然アニメだってあってもいいですよね)。

・・・と、もっともそうなことを書きましたが、一番には長島が「好き」だからです(ぶっちゃけ)。
職権濫用で、公然と大画面でアニメが見られるから・・・とまではいいませんけど(小声)。
さらに言えば、みんなも好きだからです(多分)。

初年度の授業ではコッソリと忍ばせる程度でしたが、受講生の「もっと見たい」「アニメを使うのが良かった」という声が多くて、開き直ったわけです(ちょろい)。

アニメというとオタク、オタクというとキモイといった偏見・差別の時代もありましたが、アニメは立派な文化です。いまや公然とアニメ好きを語れる時代になってきたと思います。「アニメを使って何が悪い!」という気概で、これからもアニメを積極的に使おうと思います。毎クール新作がたくさんあるので、教材選びが大変です。
さて、今日も勉強しよう♪(せっせとアニメを見るお仕事)

どういう授業を目指しているのか―集合知

実のところ、授業をコーディネートしていただいた新保史生教授に「数十人規模の授業」だといわれていましたが、授業日当日、行ってびっくり、大人数の学生が参加してくれました。さらに、参加人数は年々増加しました。うれしい悲鳴です。

この授業は、たくさんの学生がいるからこそ、参加してくれる学生のたくさんの声を利用した授業にしようと思っています。ずばり「SFCの集合知」です。

法律学は「正解がない=いろんな考え方ができる学問」です。SFCは、それを実感できる最適の場所だと思います。なぜなら、SFCは色んなバックグラウンドを持つ学生が集まっているからです。これまで経験してきた生活も文化も価値観も異なるSFCのみんなの意見をまとめ、たくさんの意見を紹介することで、いろんな考え方があることを実証しつつ、異なる意見にも耳を貸し、よりよい問題解決方法をみんなで思案していければと考えています(そうするための長島の手間は大変ですが…)。

ですので、長島はあくまで「コーディネーター」で、
「SFCのみんな」が主役だと思っています。

これからも、みんなと一緒に授業を楽しんでいければと思っています。

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    リーガルマインドは、2015年度まで国際法・宇宙法の青木節子教授が担当されていました。法律学は、2017年度まで新保史生教授が担当されていました。なお2018年以降、リーガルマインドは開講されていませんでしたが、2021年度から長谷川先生が担当されるようです。
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長島研究室

帝京大学長島光一研究室では、民事訴訟法を専門とし、医療分野・環境分野・情報分野の議論も実施しております。 ここ数年は、自分の好きなことを法と絡めて紹介する「趣味と法」・グループを作って行う「民事模擬裁判」を実施しております。

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